「インフェルノ」感想(ネタバレなし)

シリーズから遠ざかっていた人も楽しめる

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映画「インフェルノ(Inferno) 」とは

ダン・ブラウン原作のロバート・ラングドンシリーズ「インフェルノ(2013)」を原作としたミステリー/スリラー映画。

映画「ダ・ヴィンチ・コード(2006)」「天使と悪魔(2009)」の続編である。

主人公のロバート・ラングドンを、前2作に続いてトム・ハンクスが演じる。

映画「インフェルノ」序盤のあらすじ

ロバート・ラングドンは苦痛と共に病室で意識を取り戻す。

自分がなぜ病室にいるのか、全く記憶がない。

なぜか頭に浮かぶのは、世界が灼熱地獄(インフェルノ)になる恐ろしいイメージ。

そこへ、女性警官がやって来るが、彼女はラングドン目掛けて突然銃を発砲するのであった…。

前田邦彦の感想

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(注:基本的に以下の感想はネタバレなしの方向で書いています。ただ物語は何でもそうですが、一切予備知識を入れない方が当然楽しいので、その点はご了承ください。)

映画「ダ・ヴィンチ・コード(2006)」「天使と悪魔(2009)」に続く、ロバート・ラングドンシリーズも本作「インフェルノ」で第3弾。

原作小説は、「ダ・ヴィンチ・コード(2003)」のあと、「ロスト・シンボル(2009)」「インフェルノ(2013)」と続いており、本作は同名の小説を原作としている。

さて、僕は「ダ・ヴィンチ・コード(2006)」「天使と悪魔(2009)」は原作を読んでから映画を観た。

その後、何となくロバート・ラングドンシリーズから遠ざかってしまい、「インフェルノ」は原作未読のまま映画を観ることに。

結果、非常に面白かった。

このシリーズは、主人公ロバート・ラングドンが宗教象徴学専門のハーバード大学教授という設定である。

「ミステリーの地の部分」があって、そこにさまざまな「薀蓄(うんちく)」が加わる事によって成り立っている。

これが両輪となることによって非常に面白い小説になっている。

しかし、この薀蓄部分が、図像学の分野であるために、小説では薀蓄の部分を丹念に描写できるものの、映画になるとそれが難しいという弱点があった。

それでも、「ダ・ヴィンチ・コード(2006)」「天使と悪魔(2009)」は、その難しさを克服し、及第点の仕上がりになっていた。

これは、「アポロ13」「ビューティフル・マインド」の名監督ロン・ハワードの腕によるところが大きいと思う。

幸いなことに、ロバート・ラングドンシリーズは、本作「インフェルノ」を含め、3作ともロン・ハワードが監督を務めている。

脚本は前作「天使と悪魔(2009)」に続きデヴィッド・コープ。

制作するチームが固定されていることが功を奏し、もはやそのさじ加減は完璧。

また、特筆すべきは、原作小説を書いたダン・ブラウン。

ダン・ブラウンは、最初の映画版「ダ・ヴィンチ・コード(2006)」の脚本を担当していた。

小説家の中には、自身の作品が映像化されると、それをフィードバックして映像化に適したストーリーを書けるようになるタイプの人がいると思う。

おそらくダン・ブラウンが、映画の脚本に参加したのが、良い経験になったのではないか。

そのため、「インフェルノ」は、まず「ミステリーの地の部分」が抜群に面白い。

原作未読のため、原作と映画の差異が分からないのが前提になってしまうが、映画「インフェルノ」は、基本プロットが秀逸。

まず、冒頭からラングドンが病室で治療を受けているというショッキングな入口。

ラングドンは、事故のために記憶障害を起こしており、ここ48時間の記憶が曖昧。

けれども、持ち前の洞察力で、窓の外の景色から、ここがイタリアのフィレンツェであることを把握する。

しかし、アメリカの大学で教鞭を取る生活をしているはずなのに、なぜイタリアの病室にいるのか?

記憶がない、怪我をしている、おまけに女性警官が銃を発砲してくる…いったい自分に何が起きているのか。

何も状況が分からないまま、ラングドンは逃亡するはめに。

この恐怖の状況に置かれたラングドンをトム・ハンクスが熱演しており、説得力がある。

また、ラングドン自身が記憶を失っているために、出て来るキャラクターが全て謎。

誰が敵で誰が味方なのかも全く分からない。

そして、自分がなぜ追われているのかさえ分からない。

それでも、ラングドンの頭脳と洞察力で、薀蓄部分の謎を解きつつ、ストーリーは進行する。

巧いのは、途中で観客が違和感を覚えるだろう部分。

僕も、細かい部分で「あれ?」と思ったのだが、それらは全て伏線になっている。

最終的には、それらの謎が解ける仕掛けが絶妙。

1度観ただけでは分からなかった人も、この映画を複数回観れば、その仕掛けの素晴らしさが分かるはず。

また、その謎の全貌もなかなか巧妙に仕掛けられており、今回ばかりは、もしかして記憶を失っているラングドンが何かをしでかしたのではとさえ思わせるのも巧い。

そういうわけで、僕は、この「インフェルノ」、原作未読で観て良かったと思ったのであった。

ロバート・ラングドンシリーズは、映画においては前2作で終わった感じがあった。

実際、最初の「ダ・ヴィンチ・コード(2006)」は「インフェルノ」の10年前の公開。

前作「天使と悪魔(2009)」からの本作までのブランクも長い。

そのため、僕のように、しばらくこのシリーズから離れていた人も多いのではと思う。

映画「インフェルノ」は、そのストーリーの内容から、原作未読の方が楽しめる。

そして、映画が気に入った人は、のちに原作の小説を読み、薀蓄の補完と、映画との差異を楽しむコースがベストではないかと思うのだ。

「インフェルノ」感想イラスト

“おそらく我々を追ってきているのはターミネーターだと思う”
“頭の打ち所悪すぎ!”