もしもマジックを犯罪に使ったら?
映画「グランド・イリュージョン」との出会い
劇場で流れた、映画「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」の予告編が非常に面白そうだった。
調べてみると、それは本作「グランド・イリュージョン」の続編だという。
あわてて先に「グランド・イリュージョン」を観ると、これが面白かった。
というわけで、ネタバレありで考察してみたい。
マジックと映画は相性が悪い…が
「グランド・イリュージョン」の基本的なアイデアは、「マジシャンやメンタリストが、そのスキルを犯罪に使ったらどうなるか」というもの。
これまで、ありそうでなかったアイデアだと思う。
なぜか?
それは、「マジックと映画は相性が悪い」から。
映画は編集やCGが使えるので、マジックの意味がなくなってしまうのだ。
そういうわけで、マジックを扱った映画は多くない。
「グランド・イリュージョン」は、この相性の悪さを、どう克服するのか。
登場人物と物語の構造
「グランド・イリュージョン」は、主人公である「フォー・ホースメン」が、マジックを使って犯罪を行う。
「フォー・ホースメン」は、
J・ダニエル・アトラス(ジェシー・アイゼンバーグ): マジシャン。
メリット・マッキニー(ウディ・ハレルソン):メンタリスト(読心術、催眠術を行う)
ジャック・ワイルダー(デイヴ・フランコ): マジシャン。
ヘンリー・リーブス(アイラ・フィッシャー): マジシャン。
の4人。

一方、「フォー・ホースメン」を追うのが、
ディラン・ローズ(マーク・ラファロ): FBI特別捜査官。
アルマ・ドレイ(メラニー・ロラン): ICPO捜査官。フランス人。
そして、サディアス・ブラッドリー(モーガン・フリーマン): マジシャン。
の3人。
「フォー・ホースメン」の犯罪は、実は、不正や悪事を働いた人間を懲らしめるために行われている。
しかし、それでもやっていることは犯罪なので、捜査官に追われることになる。
ただ、捜査する側は、その犯罪にマジックが使われていて、わけが分からないので、マジシャンのサディアス・ブラッドリーに協力してもらうことにしたのだ。
サディアス・ブラッドリーは、同業者のマジックを見破るパフォーマンスで有名になったマジシャンなのがポイント。
映画ならではのマジック表現
ストーリーは、3つのマジックを使った犯罪で構成されている。
最初のマジックは、
「ラスベガスの観客の中から1人を選び、彼をパリの銀行に瞬間移動させ、その金庫の中からお金を奪う」
というもの。
アメリカからフランスへ、人を瞬間移動させて、さらにお金を盗むって、そんなの無理でしょ!
というマジックを、サディアス・ブラッドリーが探偵役として見破り、なるほど、となる流れ。
つまり、「グランド・イリュージョン」は、「実現不可能に思えるマジックを、実際に種明かしすることで、マジックと映画の相性の悪さを克服している」のだ。
観客の裏をかく構成の妙
「グランド・イリュージョン」は、構成、テンポがよく、観客を飽きさせることなくストーリーは進む。
マジックは、観客の裏をかくこと(ミスディレクション)が重要になってくるが、「グランド・イリュージョン」では、マジックだけでなく、ストーリーでも我々観客の裏をかいてくる。
最後には、なるほどそういうことだったのか!という、大どんでん返しまで用意されていて、ただただ感心。
「オーシャンズ11」との共通点:スマートなクライム映画
また、僕は「グランド・イリュージョン」を観て、「オーシャンズ11」を思い出した。
2001年にスティーブン・ソダーバーグが監督した「オーシャンズ11」は、映画関係者から、ある点が注目された。
それは、
犯罪をテーマにしたクライム映画であるにもかかわらず、登場人物が死なないこと。
それまでのクライム映画では、登場人物が大勢死ぬのは当たり前。
しかし、誰も死なせることなく、スリリングなストーリーを展開した「オーシャンズ11」は、その後のハリウッド映画に大きな影響を与えた。
「グランド・イリュージョン」も、スリリングなストーリーであるものの、ひどい殺し合いのシーンなどは一切ない。
これが、今のスマートなクライム映画なのだ。
前田邦彦の採点と点数
- ストーリー: 15点(20点満点)※基本のストーリーだけで面白いのに、最後にさらにどんでん返しがある。
- 設定: 5点(10点満点)※実現できるか疑問は残るが、単純に楽しい。
- 映像: 12点(20点満点)※ちょっとCGが荒い部分があるのが惜しい。
- 編集・演出: 10点(10点満点)※テンポは良い。
- キャスティング・演技:10点(10点満点)※それぞれキャラも立ってるし、良い。
- 音楽・効果音: 8点(10点満点)※マジックショーを盛り上げる感じが良い。
- 前田邦彦の+アルファ:10点(20点満点)※マジックというアイデア、スマートなクライム映画という部分を評価。
【グランド・イリュージョン】の点数は【70点!】
続編の感想も公開中!
