火星映画は科学的調査によってアップデートされる
映画「オデッセイ」観てきました!
映画「オデッセイ(The Martian) 」とは
「エイリアン」「ブレードランナー」「グラディエーター」の巨匠、リドリー・スコット監督による2015年の作品である。(日本公開は2016年2月5日)
邦題は「オデッセイ」だが、原題は「The Martian」
アンディ・ウィアーの同名の小説「火星の人(The Martian)」を原作としている。
映画「オデッセイ」序盤のあらすじ
近未来。火星有人探査計画アレス3のクルーは火星の探査任務を始めようとしている矢先に、大規模な砂嵐に遭遇。
指揮官メリッサ・ルイス(ジェシカ・チャステイン)の判断により探査任務は中断され、全クルーは火星から退避するためにロケットへ向かう。
その途中、砂嵐によって飛ばされたアンテナがマーク・ワトニー(マット・デイモン)を直撃。
クルーはマークを見失い、彼の宇宙服損傷のデータから生存は絶望的と判断し、脱出する。
しかし、マークは火星の地で、ただ一人生存していた…。
火星への注目と「マーズワン」計画
2013年、インターネット上にこんな募集記事が掲載された。
「火星への移住者募集中。ただし片道飛行である。」
オランダの起業家が創設した火星移住計画「マーズワン」
この人類初の火星コロニー建設計画には、世界140ヶ国から20万人以上の応募者が殺到した。
二度と地球には戻れない過酷な内容ながら、僕も一瞬「行ってみたい」と思ったものだ。
マーズワン計画では、2025年に最初の4人が火星に住み始める予定とされ、その進捗状況が注目されている。
しかし、残念ながら2016年の現時点では、マーズワン計画は商業詐欺の可能性が高いというニュースが出たばかり。
真相は今は分からない。
しかしである。
最初にマーズワン計画を知った時は、もはや火星とはそんなにも近いものになったのかという驚きがあった。
そして、現在はNASAも有人火星探査計画を進めている最中であり、宇宙探査機Orionの組み立てが完了したというニュースが飛び込んできた。
全世界的に火星への注目が集まっている。
そんな流れもあってだろう、このタイミングで「オデッセイ」という映画が制作、公開されたわけである。
火星映画の変遷と「ハードSF」としての本作
思えば、映画の世界には火星映画のブームが周期的に到来する。
前回のブームは2000年。
「ミッション・トゥ・マーズ」「レッド プラネット」と、2本の火星映画が公開された。
これに先駆けてNASAがマーズ・パスファインダーによる火星探査計画を行ったからだろう。
古くは火星人から始まり、火星に言及した作品の多いフィリップ・K・ディックの原作を元にした「トータルリコール(1990)」など、火星映画は周期的に作られている。
そして、その変遷は火星に対する科学的調査の発展によってアップデートされているとも言える。
「オデッセイ」は「ハードSF」に分類される作品だ。
ハードSFとはSF(サイエンス・フィクション)の中でも、科学的知見や科学的描写の正確なものを指す。
そこで描かれる内容は、理論上可能なアイデアが中心となり、現在の技術の延長線上にあるものだ。
つまり、現在、それだけ人類の火星に対する知見が、その確度を増しているということである。
絶望的状況からのサバイバル術
…とまぁ、難しい話はさておき、そんな背景を知らなくても「オデッセイ」は十分に楽しめる作品である。
こういったテーマをエンターテイメントとして仕上げてくるあたりはさすがとしか言いようがない。
「オデッセイ」内では、正確な年号が描写されていないが、おそらく50年程度の未来が想定されているのではないかと思う。
一部科学的に不正確な描写があるものの、基本的にはとてもリアル。
印象的なのは、主人公マークが火星に一人取り残されてから、生き抜くために、まず手持ちの物資を確認するところ。
現時点での「自分の能力を含めた資産」をきちんと把握し、それらを元にして、「成果を上げるための計画」を立てる。
自分の性格に合致するのか、僕はこの類の描写が非常に好きだ。
「アポロ13」で、地上のNASAのスタッフが、「アポロ13内にあるこの備品を使ってフィルターを作れ」とか、
「スラムダンク」で桜木花道が自分にできるプレーを把握して作戦を練るシーンとか、
そういうシーンにぐっときてしまう。
「オデッセイ」は、全編に渡りそういう描写に溢れているわけで、僕の琴線に触れまくりの映画である。
そもそも火星に一人取り残されて、次に有人探査が来るのは4年後、当然それまでの食料などないという絶望的な状況のなかからのスタートなのだから。
みんな自分ならどうするのかと考えるのではないだろうか?
構成と細部のこだわり
構成も巨匠リドリー・スコットが手掛けるだけあってそつがない。
しかし、映画において冗長な編集を嫌う僕だが、「オデッセイ」に関しては、もっと冗長でもいいのではないか?と考えた。
それは、劇中では相当な時間が経過しているわけだが、物語的に必要な部分のみを描写しているために、あっという間に解決している印象があるからだ。
実際問題、何かしたくても出来ないもどかしい時間というものが描写されていると、なお僕の好みだったというか。
まぁオマエの好みなど知らんがなって話ではあるが(笑)
とはいえ「オデッセイ」の、科学の素晴らしさを再認識させてくれるはストーリーは面白い。
キャラクターも良い。
映像は文句なしに素晴らしい。
そして、音楽の使い方も巧い。
観て損のない映画といえるだろう。
なぜか最後に物語に関係ないイギリスのシーンが入るのだが、調べてみたら、リドリー・スコット監督はイギリス人だった。なるほど。

けっきょく火星ではダクトテープが一番役に立つ
