「ソーシャル・ネットワーク」感想(ネタバレなし)

現代のアメリカン・ドリームは、WEB上に存在する


※ジャケット画像はAmazonリンクを使用しています。

「ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)」観てきました。

監督は、僕の好きなデヴイット・フィンチャーですが、この映画に関してはあまりフィンチャー作品を楽しむというスタンスではなかったですね。

題材が興味深いという感じでした。各賞を総ナメにしていますし、評価も高いので、そちらの興味もありました。

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注:基本的に以下の感想はネタバレなしの方向で書いています。ただ物語は何でもそうですが、一切予備知識を入れない方が当然楽しいので、その点はご了承ください。

「ソーシャル・ネットワーク」は facebook(※1) の 創始者にして CEO(※2) の、マーク・ザッカーバーグを主人公とした実話を基にした物語である。

マーク・ザッカーバーグは、ハーバード大学2年生であった2003年の秋に、彼女と口ゲンカの末に分かれてしまう。

酒に酔ったまま、元カノの悪口をブログにアップし、そのままの勢いでハーバード大学のコンピュータをハッキング。

女子学生の顔写真を各種プログラムを書いて取得すると、二人の女子学生を並べて、どちらが美人かを競うという「フェイスマッシュ」というサイトを立ち上げる。

「フェイスマッシュ」は公開2時間で、何と2万2000ものアクセスを集めるが、4時間後には大学に閉鎖されてしまう。

この一件によって、マークは大学から処分を受け、女子学生からは嫌われ者の有名人になってしまう。

しかし、そのプログラミング能力に目を付けたウィンクルボス兄弟とディヴィヤ・ナレンドラは、マークにハーバード大生専用のコミュニティサイト「ハーバード・コネクション」の制作を依頼する。

「ハーバード・コネクション」のアイデアにインスピレーションを得たマークは、「フェイスマッシュ」のアルゴリズムを考えた親友、エドゥアルド・サベリンを CFO(※3) とし、ソーシャル・ネットワークサービス「ザ・フェイスブック」を立ち上げる。

2004年のことであった。

「ソーシャル・ネットワーク」は映画制作にあたり、マーク・ザッカーバーグ本人に取材を申し込んだが断られた経緯があり、彼の人物像を深く掘り下げて描いているわけではない。

むしろ、観客はおそらく彼の親友、エドゥアルド・サベリンに感情移入するのではないかと思う。

「ソーシャル・ネットワーク」でのマーク・ザッカーバーグは、天才的なプログラマーではあるが、人と価値観の違う不器用な人物として描かれている。

この映画を観た人間は、お世辞にもマーク・ザッカーバーグに良い印象を持つとは思えない。

アメリカでは、マーク・ザッカーバーグは、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツの後継者とも目されている超有名人である。

その人物像を、極めて客観的にしか描いていない。

物語の始まりも2003年の秋である。ほんの8年前のことだ。

facebook は現在進行中のサービスであり、マーク・ザッカーバーグは現在26歳という若さなので、描かれている物語も有名人の半生といった仰々しい趣きではない。

その映画が、現在、各種の賞にノミネートされ、多くの章を受賞し、絶賛されている。

次の第38回アカデミー賞の作品賞の有力候補でもある。

なぜか?

僕は、それは「ソーシャル・ネットワーク」が「現代のアメリカン・ドリーム(※4)」を極めて正確に描けているからだと思う。

facebook の成功は、現代の成功譚のお手本のような話だ。

それは、

「誰もまだ気付いていないアイデア(サービスやコンテンツ)を、ライバルに先がけて立ち上げ、シェアを拡げて独占し、先行者利益を獲得する(そして、それを売り抜ける)」、

ということだ。

「複雑系」(※5)にて「収穫逓増」として示唆されているように、現代社会のビジネスにおいては1位のシェアを獲得したものが、その全体の利益の大半を得て「一人勝ち」してしまう。

余談ではあるが、「2位じゃダメなんですか?」という発言がここまで有名になったのは、この発言がいかに現代ビジネスの常識から乖離しているかという苦笑が根底にある。

デヴイット・フィンチャー監督は、この「現代のアメリカン・ドリーム」を、クールに描いている。

「ソーシャル・ネットワーク」のタイトルが印象的に入り、ボートレースのシーンで、ちょっと映像的に遊びがある以外、過剰な演出はない。

「現代のアメリカン・ドリーム」は WEB上に存在し、特にITに疎い人間には、そこで起こっていることは理解しにくい。

そこを、絶妙なタイミングで切り取って映像化し、さらりと説明してみせたところに、この映画の価値があるのだろうと思う。

「ソーシャル・ネットワーク」感想漫画コマ1

“日本でfacebookが伸び悩んでるのは何でかな?”

「ソーシャル・ネットワーク」感想漫画コマ2

“facebookは実名で顔写真を公開しますよね?”

「ソーシャル・ネットワーク」感想漫画コマ3

“ズバリ!日本人はデスノートを恐れているからです!”

「ソーシャル・ネットワーク」感想漫画コマ4

“ハリウッドでリメイク公開されたらやばいかな?”

(※1)facebook:フェイスブック。この映画「ソーシャル・ネットワーク」にて成り立ちが描かれている、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である。2008年に日本語版も公開され、注目を集めている。

(※2)CEO:Chief Executive Officer 最高経営責任者。

(※3)CFO:Chief Financial Officer 最高財務責任者。

(※4)アメリカン・ドリーム:アメリカにおける成功の概念。才能と努力により、一般の人間が大成功を収めること。現在、既に、この種類の成功はアメリカに限ったことではなく、全世界規模になっているため、厳密には「アメリカン」ではないが、ここでは概念を表す言葉として使用している。

(※5)M・M・ワールドロップ著