生まれ変わった「ジュラシック・パーク」から見る続編の成功法則
待ちに待った「ジュラシック・ワールド」を3Dで観てきました!
映画「ジュラシック・ワールド(Jurassic World) 」とは
故マイケル・クライトンの小説「ジュラシック・パーク」「ロスト・ワールド」を基に製作された映画「ジュラシック・パーク(1993)」、「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997)」、「ジュラシック・パークIII(2001)」に続くシリーズ第4作目である。
ただし、映画「ジュラシック・パーク」シリーズは、「ジュラシック・パークIII」から原作のないオリジナルストーリーが展開している。
本作「ジュラシック・ワールド」も同様に原作のないオリジナルストーリーである。
「ジュラシック・ワールド」序盤のあらすじ
「ジュラシック・パーク」事件から22年後、太古に絶滅した恐竜を現代に蘇らせ、実際に観ることのできるテーマパークは「ジュラシック・ワールド」として生まれ変わり、成功を収めていた。
ザック(ニック・ロビンソン)とグレイ(タイ・シンプキンス)の兄弟は、ジュラシック・ワールド運営責任者である叔母のクレア・ディアリング(ブライス・ダラス・ハワード)を訪ねるが、多忙の叔母はワールドの案内を部下に任せてしまう。
また、施設では、元海軍の軍人であるオーウェン・グラディ(クリス・プラット)が、獰猛なヴェロキラプトルの行動を研究し、訓練することに一定の成果をあげていた。
一方、ジュラシック・ワールド経営陣は、更なるテコ入れとして遺伝子操作した新種の恐竜「インドミナス・レックス」を生み出していた…。
以前から渇望していた、3Dによる「ジュラシック」シリーズ最新作。
ついに観ることができた。
というわけで、今回は3D吹き替え版を鑑賞。
実は、個人的には「ジュラシック・ワールド」には一抹の不安があった。
それは、今回の作品には遺伝子操作で生み出された新種の恐竜が登場するという事前情報があったから。
旧3作の最後の作品、「ジュラシック・パークIII」が公開されたのが2001年。
スタッフやキャストが刷新されているというのは当然だとしても、この新種の恐竜という情報から、これは、変な続編が生まれるのではないかという心配があった。
しかし実際に映画館で、モササウルスがガバっとジャンプして鮫を食べる予告編を観ると、いても立ってもいられないのが恐竜好きというもの(笑)
その公開を心待ちにしていた次第である。
今回の「ジュラシック・ワールド」は、続編とはいえ、旧3作とはかなり時間が開いた設定になっている。
実際に前作から14年もの月日が流れているわけで、これは当然といえるだろう。
物語の中で、ジュラシック・パークあらためジュラシック・ワールドはすでに成功している施設として運営されている。
導入は、ゲートに近付くにつれ、ジュラシック・パークのテーマ曲が美しく流れ、旧3作のファンは、まさにここに帰ってきたんだなと感慨深く思うはずだ。
序盤は、前作から時間が空いた部分を埋めるための説明があり、なかなか恐竜が出てこないとやきもきした「ジュラシック・パーク」を踏襲した構成になっている。
この辺の「じらし」が、実はそのまま伏線になっている。
勘のいい人は、ここで最後の展開まで予想してニヤリとできるだろう(笑)
物語が動くのは、新種の恐竜「インドミナス・レックス」が、高い知性を示し、その飼育エリアから脱走するところから。
インドミナス・レックスは、ティラノサウルス・レックスの遺伝子をベースに、様々な遺伝子を掛け合わせて誕生させたハイブリッド恐竜という設定。
「ジュラシック・パーク」にあった、DNAの欠損した部分を他の原生生物のDNAで補完したというアイデアをさらに推し進めたものといえる。
正直、そこまで奇抜なデザインではなかったので、ホッとした。
今回の「ジュラシック・ワールド」は、旧3作を1本にまとめたような構成になっている。
そのため、3Dで見たかったシーンの連続になっていて、非常に良く出来ていると思う。
キャラクター設定の巧みさと新旧ヒロイン像
また、「ジュラシック・ワールド」で特筆すべきは、そのキャラクター設定の巧さにある。
そのために、旧作を振り返ってみよう。
旧作の主要人物は、まず、古生物学者のアラン・グラント博士。
恐竜をテーマにした作品の主役が、そのまま恐竜の解説を務められる妥当な配置。
そして、もう1人が、複雑系を専門とする数学者のイアン・マルカム博士であった。
もともと故マイケル・クライトンの原作「ジュラシック・パーク」、「ロスト・ワールド」は、絶滅した太古の恐竜の血液から現代に恐竜を蘇らせるという素晴らしいアイデアの他に、当時はまだ定説のなかった恐竜の大量絶滅を、複雑系=カオス理論で説明するという野心的なアイデアが盛り込まれていた。(※1)
そのため、数学者のイアン・マルカム博士の登場となったわけである。
しかし、逃げ出した恐竜により、施設がパニックなるという作品の構造上、とくに映画では、学者が主要人物だと基本的に逃げることしかできないため、物語を作るうえでは難しい部分があった。
それに対して、「ジュラシック・ワールド」の物語を引っ張るのは、元海軍の軍人であるオーウェン・グラディ。クリス・プラットがタフなヒーローを説得力たっぷりに演じている。
オーウェンの現実的な判断や、銃火器の扱いなど、物語にとって必要なスキルから逆算した合理的なキャラクター設定であるといえる。
僕は3D吹き替え版で観たので、オーウェン役の玉木宏についても触れておくと、クリス・プラットとは声質が違うものの、低く通る男前の声で、非常に良いと思った。
ヒロインは、ジュラシック・ワールド運営責任者のクレア・ディアリング。
物語が進むにつれて、強く魅力的になっていくヒロインは、かつてのハリウッド映画では王道の設定であった。
しかし、昨今のヒロインは、登場時からとんでもなく強いことが主流になっているので、この王道の設定は、逆に新鮮に感じた。
さて、僕の場合、ここから恐竜について語りだすと終わらなくなるので、その辺は省略する(笑)
その辺は実際に「ジュラシック・ワールド」を観て、素晴らしい映像を堪能していただきたい。
続編成功の秘訣は「作品愛」にあり
映像、キャスティング、脚本、音楽、すべてが高い水準でまとまっている本作だが、僕が「ジュラシック・ワールド」を観て、一番に考えたことは、最近の映画作品、とくにリブートや続編の成功法則について、であった。
その成功法則とは、
「スタッフが旧作を心から愛している」
ということだ。
ハリウッドのリメイクブームは今に始まったことではないが、一昔前のリメイクの理由は「過去に成功したタイトルの名前を出せば企画が通りやすい」ということであった。
しかし、現在成功している作品は、「スタッフが昔、自分が好きだった作品を、作る側に回った今、思い入れたっぷりに再び作ってみたい」という理由からスタートしているように思える。
そのため、そこに、過去作品に対しての最大のリスペクトが見て取れ、同様に過去作品を愛してやまないファンの心をがっちりと掴んでいるという構図がある。
実際、新種の恐竜ってどうなの?と思うような、うるさ型の古参のファンである僕も、なるほどそういう理由でこういう設定になったのかと納得し、拍手を送ってしまうわけだ。
僕は、エンドロールにフィル・ティペットの名前を見つけた時、とにかく驚いた。これも旧作に対するリスペクトの証だろう。(※2)
「ジュラシック・ワールド」は大成功を収め、既に続編の公開が2018年に決定している。
新世代のジュラシック・シリーズに期待大である。

ジュラシック・ワールドは何と言ってもこのポーズ
- ※1
- 当時は諸説あった恐竜の大量絶滅であるが、現在は、2010年に発表された説によって、「メキシコ・ユカタン半島に小惑星が衝突したことによる気候変動が原因である」とほぼ結論付けられている。
- ※2
- フィル・ティペット:「ジュラシック・パーク」で降板/再登板したストップモーション・アニメーターである彼を、CGI全盛の現在、再び恐竜モーションのコンサルタントとして起用している。
