「ミッションインポッシブル ローグ・ネイション」感想(ネタバレなし)

最高傑作を受けての原点回帰

※ジャケット画像はAmazonリンクを使用しています。

映画「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(Mission: Impossible – Rogue Nation) 」とは

トム・クルーズがIMF(Impossible Mission Forceの略称。国際通貨基金にあらず)のエージェントである主人公イーサン・ハントを演じる「ミッション・インポッシブル」シリーズの第5作目である。

これまでの作品については感想の中で紹介する。

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」序盤のあらすじ

イーサン・ハントは謎の組織「シンジケート」を追ってロンドンにやって来たが、敵の罠に落ちる。

謎の女性、イルサ・ファウストに命を助けられたイーサン。

しかし、同時期にIMFは政府から解体を命じられ、イーサンはCIAによる国際手配を受けてしまう。

このため、イーサン・ハントは独りで「シンジケート」とイルサ・ファウストを追うことになる…。

前田邦彦の感想

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トム・クルーズが、主演のみならず、製作を手がけている「ミッション・インポッシブル」シリーズも今作で5作目。

「ミッション・インポッシブル」シリーズは、当初、トム・クルーズが有名な監督にオファーしてメガホンを取ってもらうスタイルで製作されてきた。

1作目の「ミッション・インポッシブル」は巨匠ブライアン・デ・パルマが監督を務め、手堅くまとめた。

2作目の「ミッション:インポッシブル2(M:I-2)」はアクションを得意とし、独自の世界観を持つジョン・ウーが監督。

「もしジョン・ウーがミッション・インポッシブルを撮ったら?」という冗談を具現化したような、ミッション・インポッシブルでありながらもジョン・ウーの世界観バリバリの怪作であった。

しかし、3作目の「ミッション:インポッシブル3(M:i:III)」からは、その路線は変更され、頭角を表しつつある才能のある監督を抜擢するという方向に。

3作目で抜擢されたのは、今や世界一のヒットメーカーの1人であるJ・J・エイブラムス。

「M:i:III」からブレイクし、今や「スター・トレック」と「スター・ウォーズ」という2大SFの両作品を監督した唯一の人物である。

そして、4作目の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を監督したのがブラッド・バード。もともとアニメーションの監督であった彼を抜擢し、これまた大成功を収めた。

5作目となる本作「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の監督を努めたのは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の脚本を担当したクリストファー・マッカリーである。

さて、今回の「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」だが、個人的には作るのが大変だったろうな、と思う。

というのも前作「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」がここまでの最高傑作として高いハードルになっていたからである。

「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」は、脚本、アイデア、そしてドバイのブルジュ・ハリファでのシークエンス、と、すべてが高次元でまとまった傑作であった。

ここで、本作「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」は、どちらかというと新しいものを提示するのではなく、過去の作品を踏襲する路線でまとめてきた。

一度、原点回帰することによってシリーズの持つ魅力を再確認するといった感じだろうか。

「ミッション・インポッシブル」シリーズといえば、おなじみのテーマ曲にのせて導火線を火花が移動するクールなオープニング・タイトルというのがお決まりである。

しかし、実際は、各作品でオープニング・タイトルの映像の傾向は異なっている。

今回は、短いカットを矢継ぎ早に流すフラッシュバックという手法で、映画本編の印象的なシーンを先に観せておくという形になっている。

これは「ミッション・インポッシブル」の1作目と同じ手法だ。

先に印象的なシーンがサブリミナル加減に目に焼き付くので、該当するシーンに到達した時点で、あぁここか、と集中力が高まる仕掛けになっている。

前述した通り、今回は過去の作品を踏襲した構造になっていて、そのテイストは2作目に近い。

主軸はあくまでイーサン・ハントであり、彼のスタンド・プレイといった印象が強い。

前作までに、イーサンの元に信頼できるメンバーが集まり、チームが完成した感じがあったので、この辺は好みが別れるところだと思う。

巧いと思うのは、トム・クルーズが体を張ったスタントに挑戦した、飛行機に生身で捕まったまま上空まで一気に上昇するシーン。

このアクションとしては力の入ったシーンが、実は一切本編のストーリーには関係ないのである。

2作目のスタントの目玉であるロック・クライミングのシークエンスも、今回と同様に本編のストーリーには関係がなかった。

派手なシーンを何度も露出する予告編として使いながらも、一切ネタバレに関与しない部分にしてある。

これは、計算されていて、実は巧い。

というのも、映画の中では、予告編でネタバレしているという失敗例が数多く存在するからだ。

デヴィット・フィンチャー監督のように予告編まで自分で編集するというのがベストだろうが、実際には予告編というのはどうなるのか分からない部分も多い。

自分の国で放映された予告編は良くても、他国に持って行かれてローカライズされた予告編で致命的なネタバレ編集になるという可能性もある。

この方法ならば、誰もが派手なシーンを予告編に使いたがるので、それらを未然に防ぐことが可能なのだ。

さて、今回のストーリーで語るべきは、やはりヒロインのイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)だろう。

確かに美しく、強く、魅力的なキャラクターではある。

ではあるのだが、なぜイーサン・ハントがそこまで彼女に執心するのか。

人によってはこの辺がまったく分からないかもしれない。

イーサン・ハントは実はドMか?と(笑)

これは、キャラクターの類型である「ファム・ファタール」なのだ。

ファム・ファタール(仏:Femme fatale)は日本では「運命の女」と訳されることが多いが、「ボーイ・ミーツ・ガール」の類型のように、その作用がポジティブなものではない。

出会うことによって男の運命を変え、破滅に導く「魔性の女」のことなのだ。

ただ、当事者の男にとっては、一概にそれが不幸とも言えないわけで、こういった類型を扱った物語も数多く存在する。

まぁ、何と言ってもイーサンすでに結婚してるからね。

他にニヤリとするのは、2作目を思い出させる派手なバイクのアクションシーン。

大型のバイクが転倒し、のちにイーサンがこのバイクを使って追跡を始めるのだが、このバイクが転倒した際に、その近くにサングラスが落ちるのだ。

これが、アイテムの伏線になっていて、イーサンがバイクに乗る際に、「ちょうど良く落ちていたサングラスを拾う」ことができた。

「ミッション・インポッシブル」の1作目で、イーサンがTGV(フランスの高速鉄道)の屋根に乗ってアクションを繰り広げるシーンで、のちにトム・クルーズが、

「本当は安全上ゴーグルを付けたかったが、どうしてもゴーグルを付ける理由を思い付かなかった」

という趣旨の発言をしていたのが思い出されて面白い。

さて、ネタバレなしなので、本編の内容にはあまり触れずにきたわけだが、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」は普通にアクション映画としてハラハラ・ドキドキと楽しめる。

ただ、シリーズ最大のピンチとか言われても、いつもピンチすぎてどれが最大なのかは分からないのだが(笑)

ちなみに、既に第6作目の製作が決定しているのが本作の成功の証だろう。

「ミッションインポッシブル ローグ・ネイション」感想イラスト

シンプルに嫌!

※やっぱりこのシーン描きたくなるもんな~。