生まれ変わるスタートレック
早速「スター・トレック(2009)」観てきました。
「スター・トレック(2009)」の特別な立ち位置
「スター・トレック(2009)」は「スター・トレック」シリーズ劇場版第11作目にして最新作であるわけだが、その立ち位置は今までの劇場版とは大きく異なるものとなった。
なぜか?
シリーズの現状と新規ファンの課題
たとえば普通の映画の続編のような場合、続編「2」に興味を持った人が、前作の「1」を未見の場合、レンタルなどで「1」を予習してから劇場に「2」を観に行く、というスタイルはありがちなケースと言えるだろう。
しかし、「スター・トレック」シリーズは、TVシリーズからスタートしており、既にシリーズにして5作(アニメ版 まんが宇宙大作戦を加えると6作)が制作されており、エピソード数は約700。劇場版だけでも、既に過去10作品が作られているわけで、予習をしてから劇場に行くというスタイルを望むべくもない状況である。
実際に、今までの劇場版は、その膨大な過去作品を観ていなければ分からないようなエピソードも盛り込まれていた。
僕の場合、TVシリーズの劇場版とは、ある種そういったファンサービスで成り立っており、通常の映画とは区別して考えているので、それで良いとさえ思っている。
しかし、そういった状況は新規のファンの参入がない、いわば縮小再生産の負のスパイラルにおちいるわけで、「スター・トレック」シリーズの劇場版の興行収入は1作目を最高に、その後はだいたい右肩下がりに落ち続け、ビジネスとしてはヤバイ状況になっていったのである。
J.J.エイブラムス監督の起用と期待
状況を改善するにはどうすれば良いのか。
そこで出された答えが、今回の「スター・トレック」なのだ。
わりとこれまでの劇場版では「スター・トレック」の世界観を熟知していた人間がスタッフや監督を務めていたわけですが、今回は監督に「LOST」「MI:3」などでおなじみのヒットメーカー、J.J.エイブラムスを起用。
僕は、そこまで「スター・トレック」に詳しくないJ.J.エイブラムスを起用することで、おそらく「スター・トレック」の世界観を守る事よりも映画としての楽しさを追求する方向に入ったのだと思った。
長年のトレッキーである僕の正直な感想は、これはどっちかというと寂しい事だったわけである。
新しい「スター・トレック」への戸惑いと期待
僕が予想した新しい「スター・トレック」とは、たとえば「ミッション・インポッシブル」や「チャーリーズ・エンジェル」のような作品で、(J.J.エイブラムスが「MI:3」の監督に抜擢されているのもまた象徴的であるが)過去の作品の基本的な設定などを踏襲しつつも、キャラクターなどに直接的な繋がりはないもの、だった。
しかしアナウンスされた今回の「スター・トレック」は現在24世紀まで進んでいる作品の舞台を最初のオリジナルの作品の舞台である23世紀に戻し、その主役は再び最初の「スタートレック」シリーズの主役である、ジェームス・T・カーク。
どうなんだろう?
そもそも1人の役者に1人のキャラクターを割り当てられるのがその魅力の1つと思える「スター・トレック」シリーズにおいて、ウィリアム・シャトナーではなくクリス・パイン演じる新しいカークが必要なのか?
「スター・トレック」っぽい全く違った妙な映画になっているのではないだろうか。
そうは思ってもやはり初日に観に行ったのであった。
杞憂に終わった予想と最高の体験
で、その感想。
杞憂。
すべては杞憂だった。
観終わった最初の感想。
この脚本書いた人は天才だな!
正直、ものすごい面白かった。
新生「スター・トレック」の魅力
まず、特筆すべきところは、今回の「スター・トレック」は、まさに新しい物語のスタートであり、そこに登場するキャラクターの説明は、全てこの映画の中で行われている事。
1本の映画として面白い事、おそらくそれこそJ.J.エイブラムスが望んでいた方向であり、それが完全に機能しているのが素晴らしい。
今までの劇場版であれば、僕は「スター・トレック」未見の知り合いには、まず観るのを積極的に勧めないところだが、今回の「スター・トレック」の場合は、これは面白いからオススメだよと言えるくらいの違いがある。
映像面でも、これはTVCMで放送されているので書いてしまうが、スペース・スーツのみで惑星方向に向かってダイビングするシークエンスなど、そういった表現があったのかと素直に感激してしまうカッコイイアクションシーンもあり、楽しい。
そして、やはり最大の見所は魅力的なキャラクター達であろう。
それぞれのキャラクターがベストを尽くし、困難なミッションに立ち向かう事、これこそが「スター・トレック」なのだなぁと思うのである。
トレッキーも唸る緻密な伏線と今後の期待
さて、ここまでで十二分に面白い今作「スター・トレック」ですが、それだけで脚本家が天才だな、とベタ誉めしているわけではない。
さらにスゴイのが、トレッキーをうならせる伏線の情報量。
物語の本線に直接関わってこないものの、トレッキーがニヤリとする部分がものすごい多い。
正直、1本の映画としての面白さを追求するなら、この世界観の表現は切り捨ててくるものと思っていたのに、むしろ今までより増やしてないか?と思えるバランス。
普通の人には面白く、トレッキーにはそれに加えてさらに別の面白さまでも用意してある。
今までの劇場版では到達しえなかった高みが、新しい冒険の幕開けに過ぎないなんて。
何て贅沢な事であろうか。
既に本国アメリカでは大絶賛らしく、既に続く第2作の製作がアナウンスされた。
まぁ今までの劇場版との兼ね合いで「ST11」と表記してしまうのをためらってしまうほどに新しい「スター・トレック」
早くも、もう一度観たくなってきた。
