「LIFE!」感想(ネタバレなし)

美しい世界を見よう!


※ジャケット画像はAmazonリンクを使用しています。

映画「LIFE!」(原題:The Secret Life of Walter Mitty)の字幕版を劇場で観てきました!

素晴らしい!

というわけで、早速のレビューです。

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注:基本的に以下の感想はネタバレなしの方向で書いています。ただ物語は何でもそうですが、一切予備知識を入れない方が当然楽しいので、その点はご了承ください。

主人公ウォルター(ベン・スティラー)は、41歳の平凡な男である。

雑誌「LIFE」のネガフィルム管理部門で真面目に働いている。

ウォルターは、同僚のシェリル(クリステン・ウィグ)に恋しているものの、直接話しかけることは出来ない。

彼女がマッチングサイト「イーハーモニー」に登録していることを知り、自分も登録してみるが、いまだ彼女にウィンクを送れずにいたのであった。

ある日、勇気を出して、ウィンクのボタンをクリックしてみるが、エラーのダイアログが出て、彼女にウィンクが送ることが出来ない。

ウォルターは、イーハーモニーに電話をかけるが、担当者からは、もっと自分自身のプロフィールを充実させるようにアドバイスされる。

しかし、ウォルターには特筆に値するような経験が何一つないのであった。

そんなウォルターには、現実の平凡さから逃げるような空想癖があった。

空想の中では、ウォルターはどんなことでも出来るヒーローになれるのだが、空想へのスイッチが入るのは突然で、その間は、周りの人間が話しかけても無反応になるほど。

一方、ウォルターの働く会社には事業再編のためにテッド(アダム・スコット)がやって来て、「LIFE」のオンラインへの移行と、雑誌としての廃刊が告げられる。

有名なカメラマンであり、冒険家のショーン(ショーン・ペン)は、ウォルターに「LIFE」の最終号のための写真のネガを送って来ていたが、指示されていた25番のネガが、どこを探しても見つからないのであった。

ウォルターには、リストラの危機と、「LIFE」最終号の表紙を落とす危機が同時に迫っていた…。

「LIFE!」は物語の類型的には「ボーイ・ミーツ・ガール」に分類される。少年が少女に出会い、恋に落ちることで話が進むのだ。(もちろんウォルターもシェリルも、ボーイでもガールでもないが…)

今まで、空想の中でしか冒険をしたことのなかった男が、仕事のためとはいえ、現実の冒険に出るのは、この恋に背中を押されてのことだ。

「LIFE!」のスローガン「世界を見よう。危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから」を誇りに思うウォルターが、そのスローガン通りに旅に出る時に、何が起こるのか。

そして、25番のネガには何が写っているのか。

映画としてのテクニカルな文脈から「LIFE!」を観ると、やはり印象的なのは、「パニック・ルーム」を彷彿させる冒頭の実写とタイポグラフィーの組み合わせ、それに続き、ひと目でカイル・クーパーのものと分かるオープニング・タイトル。

カイル・クーパーのオープニング・タイトルが映像世界を席巻したきっかけが「セブン」である。

そして「ソーシャル・ネットワーク」のサントラを聴き込んだ僕が、何か印象が似てるなと感じた音楽。

(後で調べたら、実際には作曲者などに共通点はなかったのだけれども)

極め付きが、ウォルターの空想による「ベンジャミン・バトン」のパロディ・シーン。

そもそも、ネガとポジの関係ではあるものの、「LIFE!」の本質的なテーマ(豊かな物質社会に生きてはいるが、生きている感覚のロスト)というのは「ファイト・クラブ」のそれである。

そう、そのどれもが、デヴィッド・フィンチャー監督作品へのオマージュになっているのだ。

映画の中で、他作品へのオマージュは良く観られるものだし、また師匠と弟子で、映像が似たようなテイストになることも良くあることだ。

しかし、1つの作品が1人の監督に対してここまで徹底的に寄せてくるというのは珍しいのではないか。

ベン・スティラー監督の、デヴィッド・フィンチャー監督への並々ならぬリスペクトを感じる次第である。

そういったレイヤー構造を持っていて、それを読み解くことが出来ると、また本作への面白さが倍増するのだが、「LIFE!」は、そういったことが分からなくても十分に素晴らしい映画になっている。

ストーリーは素晴らしいし、25番のネガという謎のひっぱりとその答も素晴らしい。

ベン・スティラーがコメディ畑出身ということもあり、随所に適度な笑いを入れてくるのも楽しい。

また、ベン・スティラー本人含め、キャスティングも素晴らしい。

映像は、空想から現実まで、またオープニング・タイトルからエンド・クレジットまで、そのどれもが見事だ。

そして、それらを盛り上げる音楽も非常にエモーショナルで心打たれるものがある。

さらには、そこに前述のテクニカルなレイヤー構造までもが加わり、非の打ち所がない仕上がりになっている。

観終わったあとに、非常に気分が上がるので、最近お疲れ気味のアナタや、最初のデートなんかにもオススメです。

「LIFE!」感想イラスト

主人公が僕と同い年!