「難解」ではあっても「不条理」ではない
映画「運命のボタン」を劇場で観てきた。
「運命のボタン」が問いかける究極の選択
「届いたのは赤いボタン」
ボタンを押せば2つのことが起きます
その1 どこかで あなたの 知らない誰かが – 死にます
その2 あなたは お金を手にする 金額は1億円(※1)
どうですか?
僕は入り口としては100点だと思う。
鑑賞前の注意点と作品の性質
で、この手の作品はネタバレが怖いので、予告編以上の情報を入れずに劇場へ。
あなたも観に行くのなら、これ以上は読まないで欲しい、と言いたいのだが、1つ注意がある。
「運命のボタン」は観終わった後、モヤっとした気分になる。
僕は予告編から勝手に想像して、「運命のボタン」はボタンを押したことで、主人公が何がしかの陰謀に巻き込まれるサスペンス・スリラーで、エンディングはスッキリ!だと思っていた。
主人公がキャメロン・ディアスなので、余計にそんな気になっていたのだが。
ところが、そういう話でもないんだな。
サスペンスを期待しているテンションで劇場に行かない方がイイ。
気構えとしては「アンブレイカブル」以降のシャマラン監督作品を観に行く感じ。
観終わった時の気分は「サイン」を観終わったような感じになる(笑)
物語の始まりと意外な展開
1976年のヴァージニア州。ノーマ・ルイス(キャメロン・ディアス)とアーサー・ルイス(ジェームズ・マーズデン)夫婦がまだ眠っている早朝に、家の呼び鈴が鳴る。
玄関に出てみたノーマは、そこにある「箱」を手にする。
え、1976年!?
現代の話じゃないの!?
と、そこに引っ掛かりつつも、序盤はかなり面白い。
まずボタンの設定が秀逸だし、物語がどこに向かっているのか全く分からない。
ところが、物語は意外な展開を迎える。
え、そっちかよ!
サスペンスかと思いきや、SF。
しかもけっこう哲学的。
「不条理」ではなく「難解」:伏線回収の妙
ネットで感想を検索してみると、やれ不条理だのオカルトだのと書かれているが、そんなことはない。
確かに、僕も途中で、
あ~これはこのまま伏線を回収せずに何となく終わるパターンか、
と思った。
そこで、暗がりの中で目をこらして腕時計を観ると、残りあと30分。
まだ30分あるの!?
そこからが怒涛の展開である。
きっちり伏線は回収されるし、謎もちゃんと解ける。
作品理解の鍵:アーサー・C・クラークの言葉
この作品で、僕が最も重要だと思うのが、途中で登場する主人公たちの家の地下室に飾られているポスター。
そこには意味ありげな絵と、アーサー・C・クラークの言葉
「高度に発達した科学技術は、魔術と見分けが付かない。」(※2)
が、記されている。
このポスターと同じ図像が何回か登場し、アーサー・ルイスもこの言葉を口にする(もともとこのポスターはアーサーの物)。
これは、そのまま我々観客に対するメッセージだと思う。
描写が、魔術(オカルトやホラー)っぽく見える部分も、それは高度に発達した科学技術だよってことだ。
実際、それを念頭に置いたほうが「運命のボタン」は理解しやすいし、謎も解ける。
残る「モヤっと」感と後味の理由
ただ、謎は解けても、後味が悪いんだよね~。
謎は解けた。言いたいことも分かった。
でも観終わった後、モヤっとした気分になってしまうのは、やはりテーマが重いからだろうな。
そもそもサスペンス・スリラーでスッキリのテンションで行ってるからな…。
軽くコーラ飲みに行ったのに、中華料理出されたみたいな感じだ(笑)


2つ あなたに現金100万ドルを差し上げます。


「だめです」
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- (※1)
- 予告の字幕は1億円だが、原語では100万ドルなので当時のレートだと3億円くらいか。
- (※2)
- Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.
